従業員のピンチ、でも、誰も金がなくて パート2
貞方さんの人生は波乱に満ちている。
田舎の高校を卒業して大手メーカーの子会社に一般職員として就職した。
その後、20年以上サラリーマン生活を続けたがリストラにあい、
借金まみれになり、離婚してローンが払えなくなった家を手放し自己破産した。
いろんなバイトを転々としてここでバイトを始めるようになった。
生活はとても厳しく、バイトなのでボーナスなどもなく、月収は新入社員の私よりも少なく、
私みたいに住宅手当てなんてないので、昭和40年代とかに貧乏学生が住んでいたようなアパートに一人で住んでいた。
風呂なしアパートなんて今でもあることに驚きだった。
前妻との間には子供がいるので当然、養育費も必要なのでただでさえ少ないのに養育費も払っていたので、
さらに貧乏だった。
貞方さんは家に帰ることもせずに数時間、控え室でうずくまっていた。
夕方に入る高校生たちがやってきた。
やばいと思ったので控え室に行き、「高校生からは絶対に借りないでくださいね。絶対、駄目ですからね。」と私は言った。
貞方さんは一旦、高校生に立て替えてもらって明日、私か店長が高校生に借りた分を返して、私か店長から借りるのは駄目かと提案してきた。
「一旦でも一瞬でも高校生から絶対駄目です。」と私は厳しく言った。
18時半ごろに大学生の乾君(仮名)がやってきた。
乾君は事情を聞いて申し訳なさそうに「俺、今、金欠で貸したくても貸せないんっすよ」と言った。
貞方さんはまた、頭を抱えてうずくまった。