バイト用語をドヤ顔で説教するおじさん
女子高生の女の子がバイトで働いていた。
素直でおばちゃん連中にも可愛がられていた。
現代っ子なので、バイト用語が気になってはいた。
定番のレジ会計時に「おつりの100円の方になります。」、「お皿の方、お下げしてよろしいでしょうか?」
とにかく、この子の場合、「~の方」をつけることが丁寧な言葉遣として成立していた。
ボスのおばちゃんとか店長にもそのことは言ったが、
なれてきたら自分たちが言っていくから、ということで放置していた。
あるディナーの時間帯に、その女の子と一緒にフロアーで働いていた。
恰幅の良い客のおじさんが、会計にきたのでレジに入り、会計した。
おじさんが口を開いた。
「おたくの従業員の女の子、感じいいんだけどさぁ。料理持ってくるときも『~の方になります』、『~の方になります』
って連呼して、皿下げていくときも『お皿の方、下げていいですか?』って、『~の方』、『~の方』って、『~の方』は
いらないって教えてあげなくちゃ駄目だよ。日本語ちゃんとつけないのが最近多いんだからさぁ。」
と、120パーセントのドヤ顔で私に言ってきた。
私は笑顔で、「はい。申し訳ございません。後ほど、指導させていただきます。」
おじさんはお釣りを受け取り、満足げな様子で「頼むぜ!日本の将来はああいう若い子にかかってんだからよぉ」と言い残し、店を出て行ったのであった。