ソウルフード
ある店にヘルプに行った。
中抜けで店の外に行ってお茶を飲んで帰ったら、その店のフロアーのおばちゃんが控え室でキムチとご飯だけで食事をとっていた。
「キムチ、持ってきたんですか?それだけで足りるんですか?」
「そうなのよ。いつもこれなのよ。家で漬けてるんだけど、全然、あきないのよね。」
「小さい頃から、これだけあればいいのよ。」
「へぇー、全然やっぱ、売ってるのと味が違うんですか?」
おばちゃんがちょっと味見するか?と訊くので、少し手のひらに載せてもらって食べてみた。
「なんか、マイルドで奥行きがありますね。」
「おいしいでしょう?」
「はい。うまいっすね。」
次の日におばちゃんがタッパで少し持ってきてくれたので、しょうが焼きに使う豚肉をフライパンで焼いて、そこにお手製のキムチを入れて、ごま油をたらして従食代わりに食べた。
その店に来ていた先輩社員が俺にも作ってくれというので、作ってあげたら、「うちの実家が焼肉屋やってるんだけど、このキムチも旨い。」と満足気だった。